ニュースリリース
マスコンクリートのパイプクーリング制御システム「ひえたくん®」の 商標・NETIS登録について
株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、社長:奥村太加典)と株式会社アクティオ(本社:東京都中央区、社長:小沼直人)は、マスコンクリートのパイプクーリングの効果を高めるために開発した、クーリング水の流量・流水方向を自動で制御するシステム(2021年6月発表、図-1)について、その機能を拡充した上で、「ひえたくん®」と命名し、商標・NETIS登録しました。
また、本システムを道路橋下部工事に適用し、拡充機能を含め有効性を確認しました。
【概要】
マスコンクリートの施工では、構造物の性能および機能を確保するため、セメントの水和熱による温度ひび割れの防止対策を効果的に講じる必要があります。パイプクーリングは、コンクリート内部に配置したパイプにクーリング水を流すことによりコンクリートを冷却する工法で、温度ひび割れを抑制する有効な手段の一つとして用いられています。
本システムは、パイプを水平方向に設置して冷却することを前提に開発した技術ですが、構造物の寸法、形状によっては鉛直方向にパイプを配置する方が効率的な場合もあります。そのため、適用範囲を水平方向だけでなく鉛直方向にも拡充する改良を行いました。さらに、パイプクーリングは昼夜にわたって行うため、現場事務所等、遠方からでも常時クーリング状況を確認できる機能も付加しました。
【特長】
1.等間隔に鉛直配置したクーリングパイプの上部をサクションホースで連結し、1系統の配管とします。連結部上部にはエア抜きを設置し、
エア溜まりの発生や流水方向変更時の管内圧力の上昇を防止します(写真-1)。
2.WEBモニタリングシステム(写真-2)により、遠方からでもモニター画面を通じてクーリング状況を確認することができ、漏水等の
異常発生時には担当者へ自動メールが送信されます。これにより、コンクリートの温度管理業務の省力化が図れます。
【道路橋下部工事における適用】
道路橋下部工事の橋脚部に、本システムを適用して鉛直パイプクーリングを実施した結果、コンクリート温度を計画的に制御し、温度ひび割れを防止するとともに、WEBモニタリングシステムによる遠方からのクーリング状況確認も随時行うことができました(写真-3、写真-4:令和2年度 東海環状岐阜IC橋梁西下部工事、国土交通省中部地方整備局発注)。
【商標・NETIS登録】
2022年6月27日に「ひえたくん」のネーミングで商標登録を受けた上で、国土交通省が運用する「新技術情報提供システム(NETIS)」への登録申請を行い、同年9月14日に次のとおり登録されました。
NETIS番号 :KT-220121-A
新技術名称 :パイプクーリング制御システム「ひえたくん」
【今後の展開】
温度ひび割れの発生が想定される現場打ちコンクリート構造物に対して、品質向上および省力化が期待できる技術として積極的に普及・展開を図ります。
[お問い合わせ先]
株式会社奥村組
技術本部 技術研究所 土木研究グループ
齋藤 隆弘(さいとう たかひろ)
TEL 029-865-1521 /FAX 029-865-1522
E-mail:takahiro.saitoh@okumuragumi.jp
正送時
逆送時
図-1 パイプクーリング制御システムの概要
写真-1 鉛直パイプクーリングにおけるパイプの配置および連結部(上部・下部)
写真-2 WEBモニタリングシステム
写真-3 鉛直パイプクーリング設備
写真-4 鉛直パイプクーリングシステム制御画面