ニュースリリース
再生コンクリート「リ・バースコンクリート」を移動式プラントで製造~運搬コストの低減や製造ロスの削減が可能に~
株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:奥村 太加典)と株式会社ケミカル工事(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:國川 正勝)は、当社が開発した「リ・バースコンクリート」(※)を車両架装式の移動式コンクリートプラント(通称「モービル車」、写真1)で製造する実証試験を実施しました。
※解体現場等で発生するコンクリートがらを破砕機で粗骨材と同程度の寸法に破砕し、表面洗浄等の二次処理を行わずに全量を骨材に用いて製造する再生コンクリート。コンクリートがらの搬出量や新たな骨材の運搬量を低減することで、CO2排出量を抑制できる。商標登録済。
実証試験の結果、モービル車で製造したリ・バースコンクリートは、従来の製造方法と同等の品質を確保できることを確認しました。
【背景】
解体現場等で発生するコンクリートがらは、99%以上が再生砕石などに再資源化されています。しかし、再生砕石の主な用途である盛土や道路の新設工事は減少傾向にあり、一部の地域ではコンクリートがらの受け入れが停止されているケースも見受けられます。こうした状況において「リ・バースコンクリート」は有用であるものの、「リ・バースコンクリート」専用の製造装置「リ・バース号」はクラッシャーを併設した固定型のバッチ式プラントであり、現場内に設置スペースを広く確保する必要があるという課題がありました。
【実証試験の概要】
実証試験では、小割したコンクリートがらをクラッシャーで40㎜以下に破砕したうえでモービル車に投入し、練混水、セメント、細骨材等を加えることで、リ・バースコンクリートを製造しました(図1)。その後、骨材粒度分布の計測など、フレッシュ性状および硬化後の物性に関する試験を実施しました。
【試験結果】
フレッシュ性状試験の結果、従来のリ・バースコンクリートと同等の性状であることを確認しました。また、圧縮試験および乾燥収縮試験の結果についても、同等の強度ならびに乾燥収縮量であることを確認しました。
【本手法による効果】
リ・バースコンクリートをモービル車で製造することで、以下のメリットが期待できます。
・従来の製造装置「リ・バース号」よりも設置面積が小さく、必要に応じて自走して移動できるため、固定型プラントを設置する十分なスペースがない現場でも適用可能です。
・コンクリートを打設するタイミングにあわせて、施工場所の近くでリ・バースコンクリートを製造できるので、スランプロスを考慮する必要がなく、運搬コストも抑えられます。
・バッチ式でなく連続式ミキサの採用により、必要な数量だけ製造することが可能であり、材料のロスを低減できます。
【今後の展望】
本技術に加え、発生したコンクリートがらに回収したCO2を吸着させるCCS技術の開発も現在進めており、新たな再生コンクリート技術の開発により、さらなるカーボンニュートラルへの貢献を目指します。
【会社概要】
株式会社奥村組(https://www.okumuragumi.co.jp/)
所 在 地:大阪府大阪市阿倍野区松崎町2-2-2
代 表 者:代表取締役社長 奥村 太加典
事業内容:総合建設業およびこれに関連する業務
株式会社ケミカル工事(https://www.chemical-koji.co.jp/)
所 在 地:兵庫県神戸市東灘区魚崎浜町5-5
代 表 者:代表取締役社長 國川 正勝
事業内容:土木構造物・建築物の調査診断・維持管理・補修・補強工事、特殊コンクリート工事、および前述した項目の技術の研究開発
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術研究所 土木研究グループ
松本 隆太郎(まつもと りゅうたろう)
TEL:029-865-1521
FAX:029-865-1522
E-mail:ryutaro.matsumoto@okumuragumi.jp