第37回大阪国際女子マラソン特別対談 | 元女子マラソン選手 有森裕子氏×奥村組代表取締役 奥村太加典氏 対談

ともに共通する感動と達成感

2010年からフルマラソン挑戦を続ける奥村社長

▲2010年からフルマラソン挑戦を続ける奥村社長。社員と駅伝に出場するなど、走ることでさまざまな人と交流を深めている

 社長自身、市民ランナーとして何度もフルマラソンを完走し、52歳のとき3時間2分38秒という自己記録を出されていますね。

有 森  それは、すごいですね。

奥 村  実は、2014年に「奈良マラソン」を走ったとき、終盤の上り坂で「ここよ!しっかり腕を振るのよ!」と、有森さんにお尻を叩かれたんです(笑)。

有 森  そうでしたか、失礼しました(笑)。ランナーにとって一番苦しい所だと分かるので、つい応援に力が入ってしまうんです。


 そして今年、「大阪国際女子マラソン」に協賛されます。

奥 村  私どもは1907年に奈良で創業しまして、1923年に大阪に本社を移して今日まで仕事をさせていただいてきました。ゆかりの深い大阪の大会に協賛させていただき、非常に光栄に思っています。

有 森  こうした大会は、協賛や後援される方々がいらっしゃって成り立ちます。選手には、その後押しがあって世界を目指せるということを感じてほしいですね。

奥 村  レースにかける選手の姿と、私たちが仕事に取り組む姿勢は重なる部分が多くあります。今回、協賛しようと思ったのは、その共感が大きかったのです。マラソンに出るには、地道な練習を重ねてスタートラインに立つまでのドラマがあり、そして、レース中にもさまざまなドラマが生まれます。そのドラマは、選手だけじゃなく、チームのサポートや、運営される方、沿道で応援される方がいて成り立ちます。私たちの仕事も、工事が着工するまでの取り組みがあり、工事が始まってからもさまざまなアクシデントに対応し、関係者の皆さんの応援に支えられて遂行できるのです。その感動と達成感は非常に共通すると思います。

自分を高め世界へ羽ばたく大会

走れることに誇りを感じた大阪

現役引退後も、日本の陸上競技界のために尽力している有森さん

▲現役引退後も、日本の陸上競技界のために尽力している有森さん。今年の大会、日本新記録に期待を寄せる

 「大阪国際女子マラソン」は、有森さんにとっても、女子の初マラソン日本最高記録を出されるなど特別な大会ですね。

有 森  当時から、「大阪で勝てば世界に行ける」というくらい、私自身強い思い入れがあってデビュー戦は大阪と決めていました。実際、91年の大会で競り合ったカトリン・ドーレ選手をはじめ、尊敬できるランナー、目指すランナーに出会い、世界を見せてくれたのがこの大会で、私にとってこの大会がターニングポイントでした。

奥 村  大阪の皆さんは、熱心な応援でも選手に力を与えていると感じますね。

有 森  おっしゃる通り、ランナーは応援でモチベーションを上げたり、走りに気づきを得たりして、育ててもらう部分が大きいです。私は大阪のコースを走れることに誇りを感じていました。


 今回、協賛という形で女性アスリートを応援される奥村組さんは、普段から女性の活躍に取り組まれています。

奥 村  当社も含め、日本建設業連合会では、建設現場で働く女性を「けんせつ小町」の愛称で応援し、全国の現場で頑張る皆さんに「けんせつ小町工事チーム」として登録していただいています。当社も自社の九州支店建て替え工事で女性所長をリーダーとするチーム「八幡ひまわり」を登録するなど、取り組みに力を入れています。建設業界も女性の活躍にもっとスポットライトがあたり、活動の場が広がってほしいですね。

有 森  女性ならではのできることがあるので、それをどんどんプラスにしていっていただきたいです。そして、最終的には男性も女性も、ともに一人の人間として頑張る意識が大切だと思います。


 大会では若い選手の活躍も期待されますが、次代を担う若者にはどんなことを伝えたいですか。

有 森  スポーツに関して言えば、モチベーションやメンタル面のベースとなる基礎の部分をしっかりとさせ、目的意識を持って取り組み、指導者も本人のやり抜く力を引き出し、育ててほしいです。今までできなかったことができるようになれるよう、練習の中で工夫をし、考え、苦しみ、挑戦することを積み重ねていってほしいと思います。

奥 村  私は、自分たちの若いころも今の若い人たちも、本質的な部分は変わらないと思っています。他の人の良いところを見れば気づきを得るし、そこで努力すればどんどん伸びていくんです。情報があふれる現代において、適切に指導し導いてあげれば、皆さん良い方向に進んでいけるのではないでしょうか。今の若い人は多彩なスキルを身に付けていますから、将来的に有望だと思います。

新春の大阪で世界への飛躍を応援します

応援する人を元気にする走りを

 「人」を会社のシンボルマークのモチーフにしている奥村組さんにとって、今年は創業から「111(ひとひとひと)年」の節目の年です。これからのビジョンをお聞かせいただけますか。

奥 村  大阪に本社を構え、社業を通じて社会貢献に取り組むことに変わりはありませんが、全国各地にバランスを取った形で事業を展開したいと考えています。土木工事と建築工事を両輪とする私たちの特徴を生かしながら、競争力を高める新たな技術開発にも積極的に取り組み、お客様から信頼される会社であり続けたいと思います。

有 森  建設現場は周りが囲われているので、囲いの中を目にする機会はほとんどありません。でも、人の目に触れないそうした場所での取り組みや技術革新が、暮らしや社会を支えているんですね。奥村組さんが「人」を大切にして地道に取り組んでこられたことは、「人」が自分の力で一歩一歩進んでいくマラソンのイメージに、相通じるものを感じます。


 最後に今年の「大阪国際女子マラソン」に期待されることをお聞かせください。

奥村氏と有森氏

有 森  ランナーの皆さんには、応援してくれるすべての人を元気にする走りを期待します。それは、自分の生きる力を強くすることにもつながるので、走りを通して人や社会を元気にできることを楽しみながら、最高のパフォーマンスを発揮してほしいですね。

奥 村  大阪のコースは比較的フラットで記録も出やすいので、ここから世界に飛躍する選手が出てくることを期待しています。大阪にゆかりのある選手にも頑張ってほしいですね。私たちも、皆さんが安心して競技に集中でき、応援する方々も含めて皆が盛り上がる大会になるよう、できる限り支援してまいります。

 ありがとうございました。

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