株式会社奥村組は、供用中のトンネルでの補修・補強工事にともなう天井コンクリート表面の削り取り作業において、粉塵の飛散を防止し、高効率な作業が行える当社開発の「天井用車載型乾式研掃装置」を、既に適用済みの道路トンネルに続いて、今回、鉄道施設の補修工事に初めて適用し、その有効性を確認しました。
【背 景】
従来、天井コンクリート表面の目荒しや塗膜除去作業は、作業箇所に高所作業台を設置し、同設備に作業員が乗って人力で行っていました。しかしながら同作業は、吸引式ディスクグラインダー等の重たい工具を用いて上向き姿勢で行われるため作業効率が悪く、また、作業時に発生する有害な粉塵等が飛散する環境での作業となることから、当社は道路トンネルを対象とした「天井用車載型乾式研掃装置」を平成27年に開発し、作業効率および作業環境の改善を図ってきました。近年、これらの補修・補強工事は、道路トンネルのみならず、鉄道施設においても増加しているため、当社は本装置の適用範囲を拡大し、この度、鉄道施設での活用に至りました。
【装置の概要】
本装置の本体は、表面処理を行うケレン機、ケレン機を前後左右に移動させる架台および昇降させる多段式リフター等で構成されています（写真1）。
ケレン機は、鋼製ビットを配した円盤状研掃ヘッドとその周囲に設けた飛散防止枠（ブラシとウレタンによる二重構造）からなり、前後に設けたエアーシリンダーで天井面に押付けながら研掃ヘッドを高速回転させて研掃作業を行います。また、飛散防止枠内に発生した粉塵等を円盤状研掃ヘッド内に設けた孔より集塵機で吸引して飛散を防止します（写真2）。
【実工事への適用】
横浜市交通局発注の市営地下鉄関内駅構内補修工事において、天井コンクリート面の塗膜除去作業に本装置を適用しました（写真3）。
同工事は、準備・撤去作業等を除く実作業時間が、1日あたり1時間半程度しかなく、効率良く作業を進める必要がありましたが、本装置の適用により、従来の人力施工に比べて施工速度を大幅に向上することができました。また、装置本体や集塵機、コンプレッサー等の周辺機材を、あらかじめレール上を移動する台車に搭載し、作業開始とともにモーターカーで待機場所から作業箇所へ牽引していくことで（写真4）、作業の準備・撤去時間も短縮でき、作業全体の効率化が図れました。さらに、作業時に発生する粉塵等の飛散も抑止され、作業環境が大幅に改善されました。
今後も、本装置をコンクリート構造物の補修・補強工事における高効率化や作業環境の改善に寄与する施工技術として、積極的に提案していきます。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術研究所 土木研究グループ
石井
Tel. 029-865-1719 |
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写真1 研掃装置本体 |
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写真2 ケレン機の外観 |
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写真3 研掃装置による施工状況 |
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写真4 車載された研掃装置 |
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