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ニュースリリース

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『30年経過した免震装置の性能を確認』
〜日本初の実用免震ビルを用いた自由振動実験〜

株式会社奥村組は、当社が設計・施工し、1985年に実用建物として日本で初めて免震構造評定を取得、1986年に竣工した「奥村組技術研究所管理棟(茨城県つくば市)」において、建物そのものを人工的に揺らす自由振動実験を実施し、竣工から30年経過した今でも免震装置の性能が確保され、十分に安全性を維持していることを確認しました。

【背景】
近年、発生した大規模な地震において、地震の揺れを大幅に低減することができる免震構造の優れた安全性能が確認され、また、地震後も機能を維持し、事業や日常生活を継続できることの重要性が認識されたことから、免震建物の普及は着実に進んでいます。
しかしながら、その歴史は30年程度と浅く、免震建物を供用する数十年という長期間にわたる構造性能と耐久性については確認されていないのが現状です。
免震建物に用いられる免震装置のなかで、最も一般的に使用されている「積層ゴム」の経年による性能変化は、熱老化促進試験に基づいて予測されており、その値に対して十分な安全率を考慮して設計していますが、初期に建てられた免震建物を実際に調査した例は極めて少なく、予測の妥当性を検証するには、実建物において供用されている条件下での追跡調査が不可欠となっています。

【実験概要と結果】
本実験は、総重量約2,500トンの建物全体を、油圧ジャッキを用いて水平方向に強制的に10cmスライドさせた後、ジャッキを一気に解放し、建物を自由振動させ、この自由振動時の揺れの周期や振幅などのデータを測定・分析し、積層ゴムの経年による性能変化を検証するものです。
実験の結果、積層ゴムの水平剛性は、竣工時に対して約9%高くなっていました。設計時に想定した剛性増加率は最大17%でしたので、今回の結果は十分に許容範囲内におさまっています。また、竣工時、19年時、30年時の剛性変化の傾向は、熱老化促進試験によって予測された範囲内で推移しており、本建物は設計どおりの免震性能を有していることが確認できました。
今回は積層ゴムの経年変化に着目して検証を行いましたが、鋼棒製ダンパーの経年変化、また竣工以来継続している地震観測データを基に、地震が免震性能に及ぼす影響についても検証し、順次結果を公表していく予定です。

【今後の取り組み】
当社は免震への関心が低かった1980年に免震技術の研究を開始し、これまでに免震建物と免震装置に関する多くのデータを蓄積してきました。特に本実験でも使用した技術研究所管理棟における30年間にわたって得られた実証データは、今後の免震技術の発展に大きく寄与する貴重な財産となっています。今後も10〜20年ごとに同様の自由振動実験を行い、最先端の実証データを収集し免震の普及に貢献していきます。

熱老化促進試験:高温にすることで化学反応を促進させる試験法

以 上
   
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術研究所 建築研究グループ
舟木
Tel. 029-865-1832

 
建物外観写真   建物概要
 

建物外観写真

   
 
 
自由振動実験の概要
 
自由振動実験の概要
 

 

<ご参考>

【免震の重要性】
地震大国日本においては、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)や2016年の熊本地震などの大規模地震の発生により、防災への意識は年々高まっており、近い将来に発生し、甚大な被害が想定される首都直下地震、南海トラフ巨大地震などへの備えや対策に向けた取り組みも盛んに行われています。そのような状況において、免震は地震時の防災対策として期待されています。
免震建物は、基礎部分や中間階に積層ゴムなどの免震装置を組み込み、地震の揺れを伝わりにくくすることで、ひび割れや損傷といった建物そのものの被害だけでなく、家具の転倒、食器類の落下など建物内部の被害も抑えることができます。また、上階での揺れの増幅を抑えるので、外壁タイルの剥落や窓ガラスの破損など落下物に対する第3者への被災リスクも軽減します。
免震は、人を守ることはもちろん、地震によって起こりうる建物の機能低下を回避し、「資産価値低下リスク」「利益損失リスク」「第3者被災リスク」なども緩和します。

 
 
 

【奥村組の免震技術について】
当社は日本初の実用免震ビルの免震評定を取得し、設計・施工するなどいち早く免震に取り組み、長期間にわたって免震建物・免震装置に関する多くのデータを蓄積し、免震における設計・施工技術の向上に努めることで、さまざまな先端技術を開発してきました。「免震のパイオニア」として、これからも優れた安全性能を有する免震技術でより広く社会の安心を支え、普及促進に努めていきます。

 
 

  <奥村組の主な免震技術>

@   金属製転がり支承を利用した「高性能免震建物」  
   

金属製ローラーを利用した免震支承「金属製転がり支承CRB」と従来の「積層ゴム支承」を組み合わせて用いることで、高度な免震性能を実現する独自の技術「ハイブリッド免震システム」を実用化し、積層ゴムのみでは性能が不足する建物にも免震の適用性を拡げています。

 
A   既存建物を免震化する「免震レトロフィット(免震改修)」  
   

建物に応じての基礎部分に免震装置を組み込む「基礎免震タイプ」や階の途中に免震装置を取り付ける「中間階免震タイプ」を採用することにより、建物を使用しながら免震化することが可能です。建物の形状が変えられない歴史的建造物や、貴重品を収容している博物館・美術館、事業継続が求められる庁舎や病院などにおいて、地震に対する安全性の確保に適しています。

 
B   コンピュータールームなど重要な部屋を免震化する「免震床」  
   

地震発生時、建物自体に損傷がなくても、建物内部の機器や備品などが転倒・破損する場合があります。特にコンピュータールームなど重要な部屋では、情報の喪失などの被害を最小限にとどめ、機能を維持するための対策が必要となります。
「免震床」は床下に金属製ローラーを用い、床を支えながら揺れを低減する装置「コサインレールシステム」を取り付けることで、地震から守りたい部屋を免震化することができます。コンピュータールームの他にも病院の手術室や医療機器や医薬品の収納部屋、半導体施設、バイオ施設、危険物保管庫、大型の美術品・文化財を設置する場所などに適しています。

 
C   貴重品などを地震の被害から個別に守る「免震台」  
   

文化財などの貴重品が多くある博物館や美術館、また薬品試料や微生物を保管する研究施設などにとって地震は大敵です。建物自体の倒壊を阻止しても展示ケースや内部の品物が転倒することで、大きな被害を受けることがあります。
「免震台」は、博物館・美術館の展示物や寺院の仏像などの文化財を展示するケースや台に免震装置を組み込み、地震から貴重品を守る免震技術であり、その技術は、全国各地で進められている灯台レンズの免震化にも使われています。なお同技術により、日本免震構造協会賞を受賞しています。

 
       





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