日鉄住金パイプライン&エンジニアリング株式会社、株式会社奥村組および株式会社タックは、トンネルを外殻としてガスパイプラインを敷設する工事において、設置したガス管の周囲の中詰めに使用するものとして、高い透気性を保持しつつ、圧送性および充填性に優れ、その性能を長時間維持できる中詰材を開発(特許出願済)し、性能確認試験によってその有効性を確認しました。
【背景】
都市部や河川横断部など、地上からの掘削が困難な場所にガスパイプラインを敷設する場合、推進工法やシールド工法等でトンネルを構築した後、トンネル内にガス管を設置する方法が採用されます。トンネルとガス管の間の空間には、中詰材を充填する必要がありますが、万が一ガスが漏洩した場合でも検知できるよう、高い透気性が要求されるため、従来は空気量を増加させたエアモルタルやエアミルクを使用していました。しかしながら、空気量を増加させると、時間の経過にともない材料分離を生じやすくなり、長時間にわたる施工が困難となることから、一度に中詰めできる距離に限界がありました。
【概要】
今回開発した中詰材は、セメント、ベントナイト、水の基本配合に微量のセルロースを含む特殊な流動化剤を添加したベースモルタルに起泡剤を添加した特殊なエアモルタルで、その配合調整により、所定の透気性を満足する空気量を保持しつつも、分離抵抗性および流動性に優れ、その性能を長時間維持することができます。
本材料を使用することで、一度に中詰めできる距離が長くなり、型枠設置などの段取り替えの回数を減らすことができるため、工期短縮につながり、さらにトンネル内に充填用の配管を設置する必要がなくなるため、トンネルの断面を極力小さくすることが可能となり、コストの低減にもつながります。
【実験】
内径1,100mmのトンネル内に外径900mmのガス管を設置する場合に一度で延長500mを中詰めすることを想定し(図1)、実物大の充填実験を行いました(写真1)。その結果、開発した材料は、上記条件下で中詰め作業に要する時間である6時間を超えても、材料分離を生じることなく、優れた流動性(フロー値150mm以上)を維持し、硬化後には高い透気性(透気係数:0.1cm/秒以上)を有することが確認できました。
今後3社は、本材料をガスパイプライン敷設工事において工期短縮やコスト低減に寄与するものとして積極的に提案していきます。また、空気量やセメント量の調整により、流動性のさらなる向上や強度の調整も可能であるため、透気性を必要としない中詰材としても広く展開していきます。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術研究所 土木研究グループ
廣中
Tel. 029-865-1744 |
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充填前 |
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充填後 |
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