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ニュースリリース

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巨礫を含む礫層を高効率に掘進するシールド技術を確立
〜台湾の地下鉄工事に適用し有効性を実証〜

株式会社奥村組は、巨礫1)を含む礫層(写真1)を泥土圧シールド工法で掘進するにあたり、巨礫を取り込みつつ、泥土(礫と添加材の混合物)の流動性を適度に保ち円滑に排土することにより、安全かつ安定した進捗を確保できる技術を開発(特許出願済み)し、このたび台北市政府捷運局発注の台北地下鉄環状線CF640工事への適用機会を得て、技術の有効性を実証しました。

【背景】
泥土圧シールド工法は、掘削土砂を切羽と隔壁間に充満させ、これに添加材を注入・混練することにより、土砂を流動性と止水性の高い泥土とし、その土圧により切羽の安定を図りながら掘進する工法となりますが、礫率が非常に高くかつ巨礫を含む礫層を掘進する場合は、カッタービットの破損や摩耗が多発するとともに、細粒分含有率が低いため排土時に噴発あるいは閉塞を招くといった様々なトラブルが発生しやすい面があります。特に、台湾のシールド工事では、巨礫の存在が予め確認された工区も多く、礫破砕用のローラーカッターや、閉塞回避を目的とした低開口率の面板形カッターヘッドを採用する等、種々の対策を実施してはいるものの、前述のトラブルの解消には至らず、進捗が著しく低下するなど施工は困難を極めています。

【技術の概要と特長】
@巨礫を極力割らずに取り込む掘削・排土機構
 

従来の巨礫破砕方式において、カッタービットが激しく摩耗した経験を踏まえ、本技術では巨礫を極力割らずに掻き落として取り込む方式を考案し、ローラーカッターに替えてティースビット2)よりも突出させた先行ビット3)を配置するとともに、最大φ600oの巨礫をそのまま取り込める高開口率のスポーク形カッターヘッド(写真2)を採用しました。また、スクリューコンベヤーについても閉塞を回避し確実に排土できるよう大型化(外径φ850o)した上、泥土噴発防止を目的にスクリューコンベヤー後方に鋼管(外径φ600o、長さ30 m、写真3)を接続しました。

Aカッタービット温度計測に基づく泥土の流動調整

 

台湾における当社の同種工事において、泥土の流動性低下と、摩擦熱によるカッターヘッドの温度上昇との相関関係を確認した上で、本技術では温度センサーを複数のカッタービットに設置し、計測温度をもとに添加材(ベントナイトおよび気泡材を併用)注入量を調整することで、泥土の適度な流動状態を維持し、カッタートルクの低減やカッタービットの摩耗低減を図りました(図2)。


【実工事への適用】

本技術を台北地下鉄環状線CF640工事(シールド機外径:φ 6,240mm、掘進距離: 529 m×2台、礫層区間:各々約300m、礫層における礫率:約60%、推定最大礫径:φ1,000o)に適用した結果、礫層における掘進効率が大幅に向上しました。

カッタートルク:装備能力5,470kNmに対して50%以下と、砂層やシルト層並みの低トルクを実現した

カッタービット摩耗量:最外周部で設計15.8oに対して約1/10の平均1.7oと、砂層やシルト層並みの摩耗量に低減した

進捗:月進量165m(最大日進量13.0m)の結果、掘進工程を約50%短縮した
地盤沈下量:特記仕様書規格値11oに対して最大3.5oと、排土時の閉塞や噴発によるトラブルもなく、安全かつ安定した進捗を確保することで、沈下量を最小限に留めた

【今後の展望】
国内シールド工事の長距離・大深度化にともない、多様な地層に対応した掘進技術のニーズはますます高まっていくと想定される中、本技術は巨礫を含む礫層でも高効率かつ安全に掘進可能なシールド技術であり、今後、礫対応に苦慮する発注者に対して、積極的に提案していく所存です。

1)

巨礫:一般に堆積岩の分類として、サイズが256o以上のものを指す

2)

ティースビット:カッタービットのひとつであり、地山の切削および取り込みの役割を担う

3) 先行ビット:カッタービットのひとつであり、硬質地盤の先行切削およびティースビット保護の役割を担う


以 上
   
【お問い合わせ先】
 株式会社奥村組
 西日本支社 土木技術部 技術2課
 小原
  Tel.06-6625-3950

     
 

写真1 礫層からの排土に含まれていた巨礫

 
 
 

図1 技術の概要

 
 
 

写真2 φ6,240o泥土圧シールド機

 
 
 

写真3 噴発防止用鋼管(φ600o、L=30m)

 
 
 

図2 カッタービット温度計測による泥土の流動状態監視






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