RCSハイブリッド構法研究会(代表会社・淺沼組、他8社による共同研究*)は、既に性能証明を取得している「柱RC梁Sハイブリッド構法」の適用範囲に、小断面の柱鉄骨を内蔵した鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)柱と鉄骨梁で構成される柱SRC梁S接合部を追加し、財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(改定)を取得しました。柱をSRC造として鉄骨架構を先行して施工することにより、従来の柱RC梁S接合部構法の鉄骨造と比べた工期面での短所を補うことが可能です。
*青木あすなろ建設、淺沼組(代表会社)、奥村組、西武建設、大末建設、東亜建設工業、西松建設、ハザマ、長谷工コーポレーション
【背景】
「柱RC梁Sハイブリッド構法」は、経済性に優れた混合構造構法として開発され、平成22年5月に財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しました。しかし、従来の柱RC梁S接合部構法では、柱にコンクリートを打設するまで上階を支持できないことから、フロア毎に積み上げていく積層工法となり、柱梁架構を先行して施工できる鉄骨造よりも工期面では不利になる傾向がありました。
【概要】
本構法は、梁貫通型の柱梁接合部を構築する構法であり、補強形式としては、柱梁接合部内にせん断補強筋を配筋する「せん断補強筋形式」、柱梁接合部の周囲をふさぎ板と称する鋼板で覆う「ふさぎ板形式」の2種類があります。
今回の改定により、柱に小断面鉄骨を内蔵した柱SRC梁S接合部が追加され、鉄骨架構の先行施工が可能となりました。鉄骨工事を先行して行うことで、鉄筋工事、型枠工事およびコンクリート打設を効率よく行い、工期の短縮を図ることができます。
【特長】
主な特長は下記のとおりです。(今回の改定に関連するのはDおよびE)
@ 建物の外周部には意匠性を考慮して鋼板が露出しないせん断補強筋形式を採用し、内部にはふさぎ板形式を採用するなど、2種類の補強形式を使い分けることにより自由度の高い計画が可能となります。
A 柱のコンクリートにはFc=21〜60N/mm2、柱主筋にはSD295A〜SD490を使用できます。
B ふさぎ板は、施工時の型枠としての機能も併せ持ちますので施工性にも優れています。
C 最上階の柱主筋定着には技術認証を取得した各種機械式定着工法を用いますので施工が容易です。
D 柱SRC梁S接合部構法は、鉄骨架構の先行施工が可能であり、工期の短縮が図れます。
E 柱SRC梁S接合部構法の柱鉄骨には、比較的小さい断面の鉄骨を使用できます(梁鉄骨に対する柱鉄骨の曲げ耐力比が20%以上で可)。
【今後の展開】
本構法は、商業施設や物流施設ばかりではなく、事務所ビルや複数階の工場等にも適用可能であり、様々な用途に対応できます。今回の性能証明(改定)の取得により、経済性だけでなく施工性でも合理的な混合構造構法となりました。今後も研究会参加会社内において水平展開を行うとともに、各社の設計施工物件以外についても積極的に提案し普及展開を図っていきます。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組 技術研究所建築研究課 細矢
Tel .029-865-1835
株式会社淺沼組
技術研究所構造研究グループ
山内 Tel .072-661-1620
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【概要図】 |
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(a)柱RC梁S接合部 |
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(b)柱SRC梁S接合部(今回の改定で追加) |
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図−1 柱梁接合部のディテール |
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図−2 架構イメージ |
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【施工手順】 |
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図−3 柱RC梁S接合部 ふさぎ板形式の施工手順例(VH分離打設) |
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図−4 柱SRC梁S接合部 現場組立の場合の施工手順例 |
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