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煙突内部撮影装置を開発
〜稼働中の煙突内部の撮影・診断に実適用〜

新日本製鐵株式会社と株式会社奥村組は、稼働中の煙突の内部を撮影できる耐熱性に優れた「煙突内部撮影装置」を開発し、製鐵所構内の稼働中の煙突に実適用しました。


【開発の経緯】
鉄筋コンクリート造の煙突は、コンクリートを熱風から保護するため、内側に耐火レンガ層が設けられています。この耐火レンガ層は150℃〜250℃の熱風に直接触れるため、目地の亀裂やレンガの剥脱等の損傷を受けやすく、そのまま放置すればコンクリートが直接熱風に晒されて、強度の低下やひび割れ、鉄筋の腐食により地震や台風時には大きな被害が発生することが考えられます。このため、定期的に耐火レンガ層の劣化状況を診断し、適宜改修を行う必要があります。
この診断は、耐火レンガ層を直接観察することが最も効果的な手段となります。従来、対象となる煙突の稼働を停止し、煙突内部の温度が下がった時点でテレビカメラを挿入して耐火レンガ層の内壁面を撮影することにより観察を行っていましたが、この期間、施設の稼働を停止しなければならないため非効率であるばかりではなく、停止できない施設においては外側から間接的に診断する方法の選択を余儀なくされていました。
このような背景のもと、煙突の稼動を停止させることなく、高温状態の煙突の内部診断を正確にかつ能率よく行える煙突内部撮影装置を開発し、製鐵所構内で稼働中の煙突の内部診断に実適用し、煙突内の耐火レンガ層の状態を鮮明に視認することができました。


【装置の概要】
今回開発した煙突内部撮影装置は、真空二重筒構造の耐熱ケース内にテレビカメラ、パソコン、無線通信装置、温度センサー、方位計、バッテリー、冷却剤を内蔵するとともに、耐熱ケースには煙突内の全周を視認できるよう6ヶ所に耐熱ガラス製の撮影窓を設置することで、高温度域における適用を可能としました(図−1,2、写真−1,2,3)。
本装置(重量が約200kg)をクレーンで煙突頂部から吊り込み、煙突内を昇降させながら内壁の状態を撮影記録します(図−1、写真−4)。テレビカメラとして6台のハイビジョンカメラを搭載しており、撮影窓から同時に6方向を鮮明な画像で撮影します。テレビカメラによる撮影に合わせ、その撮影方向と撮影高さのデータも連続して記録します。
テレビカメラの撮影方向を検知する方位計としては、信頼性の高い光ファイバージャイロを採用しました。撮影高さの検知は、クレーンに外付けした専用の計測器により行います(写真−5)。この撮影高さの計測器は、吊りワイヤーと接触する滑車の回転数をロータリーエンコーダーで検出することにより吊りワイヤーの繰出し長さを計測するもので、正確かつ確実に撮影高さを検知することができます。


【装置の特長】
本装置の特長は次のとおりです。

真空二重筒構造の耐熱ケースによる遮熱と冷却剤による内部冷却により、テレビカメラ等を温度の影響を受けない正常な状態で、高温下の煙突内に吊り下ろし、内部の耐火レンガを照明しながら長時間に亘って確実に撮影することができます。さらに、耐熱ケースの外周に耐熱被覆を施せば、より高温度域での撮影が可能となります。
  耐熱ケース内に無線通信装置を設置することにより、外部から耐熱ケース内の温度調整やテレビカメラのズーム操作等の遠隔操作を行うことができます。
  光ファイバージャイロ方式の方位計と専用の撮影高さ計測器により、テレビカメラの撮影箇所を正確かつ確実に把握することができます。
  装置に搭載するパソコンが、撮影方向、撮影高さを表示しながら煙突内部の画像を記録することにより、撮影後、劣化箇所および状況を細密に確認し、より正確な診断を行うことができます。


【適用実績】
現在まで、4本の鉄筋コンクリート造煙突に適用しました(表−1)。テレビカメラは長時間、正常に作動し、煙突内部を写真−6,7のとおり鮮明に撮影することができました。

  表-1 適 用 実 績  
 
適用年月 適用場所 煙突の種類 地上からの高さ
2009年9月 八幡製鐵所 コークス炉煙突(2本) 64m,67m
2010年8月 名古屋製鐵所 コークス炉煙突(1本) 81.5m
2010年9月 君津製鐵所 線材加熱炉煙突(1本) 70m
 
     


【今後の展開】
本装置は、今回実適用した鉄筋コンクリート造煙突のみならず、内部に防蝕材がライニングされている鋼製煙突の内部撮影にも適用可能です。本装置の鮮明な映像を基にした詳細な診断に基づき効果的な対策を施すことで、煙突を含む設備の長寿命化や維持更新に要する費用(ライフサイクルコスト)のミニマム化を図ることができます。さらに、長期的にはスクラップビルドの頻度の縮減にもつながり、廃棄物(スクラップ)の発生量を抑制し環境負荷の低減効果を期待することもできます。
今後は、製鐵所構内の各種煙突に本装置を広く利用していくとともに、他の各種プラントやごみ焼却場の煙突などにも展開を図り、煙突のリニューアルの端緒となる技術として積極的に活用していきたいと考えています。


以 上
   
【お問い合わせ先】
 株式会社奥村組
 西日本支社 九州支店 土木部
  古長(こちょう)
  Tel .093-671-8892     

 図-1:煙突内撮影イメージ 図-2:装置内部の詳細図
 
 
写真-1:装置外観(断熱ケースに撮影窓を設けた)
 
写真-2:装置内部(ハイビジョンカメラを6台搭載)
 
写真-3:装置内部(ハイビジョンカメラ側から撮影窓を臨む)
 
 
写真-4:装置挿入状況(クレーンで吊り降ろし)
 
 
写真-5:撮影高さの計測器(ブームの根元に装着された矢印部分)
 
 
写真-6:煙突内壁状況@(頂部付近)
 
 
写真-7:煙突内壁状況A(中央部付近)
 
 



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