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覆工コンクリート全断面連続締固めシステムを開発
〜「南丹 園八1工区農用道1号トンネル」で効果を確認〜

株式会社奥村組は、山岳工法で施工されるトンネルの覆工コンクリートの締固め技術として引抜きバイブレータとコンクリートの圧力管理を特徴とするシステムを開発、「18南丹 園八1工区農用道1号トンネル(独立行政法人 緑資源機構)」に適用し、その効果を確認しました。

【背景】
山岳工法で施工されるトンネルのアーチ部への覆工コンクリートの打込みは、セントルクラウン(天端)部の吹き上げ口からのポンプ圧送による吹き上げ方式が採用されています。このときのコンクリートの締固めは一般に人力で行われますが、狭い空間内での作業となること、さらに側壁上部からアーチ部にかけては、バイブレータの締固め箇所を目視することが難しく、締固め不足あるいは締固め程度のばらつきの発生が懸念されています。
特に、覆工コンクリートクラウン部における締固めの不具合は空洞の発生、強度のばらつき、コンクリート表面の仕上がり不良に影響するため、覆工コンクリートの品質向上の面から、性能の良い締固め技術に対するニーズが、非常に高くなっています。
このような背景をふまえ、奥村組では、覆工コンクリートの側壁からアーチ部を経由して妻型枠までを連続して機械的に締固める技術と、クラウン部のコンクリート圧力を用いて打込みを管理する技術とを併用した締固めシステムの開発に取り組んできました。

【システムの概要】
今回開発した締固めシステムは、バイブレータ(写真−1、本体部:φ52mm×775mm,ケーブル部:φ37.2mm,長さ約20m)、バイブレータを牽引してケーブルを収納するための巻き取り装置(写真−2)、コンクリート打込み時にバイブレータおよびケーブルの位置を固定するためのバイブレータ支持台、バイブレータが型枠内を移動するルートを規定するための方向転換器具(写真−1、3、4)、コンクリート圧力管理のための圧力計(写真−1、セントルクラウン部に設置)、セントル内のコンクリート充填状況をモニタリングするためのコンクリート充填検知器(クラウン部の地山側に設置)および計測機器(写真−5)から構成されています。

【施工手順】
@コンクリート打込み前にバイブレータのケーブルは、アーチ部縦断方向に配置したバイブレータ支持台を通り、方向転換器具に沿って下方に方向を変えて配置される。(図−1)
Aセントル側壁部のコンクリート打込み口から側壁部に打込まれたコンクリートの上昇にともなって、本体部はコンクリートを締固めながら牽引され上昇する(図−2)。
B側壁部のコンクリートが所定の高さまで打込まれた時点でコンクリート打込み口をセントルクラウン部の吹き上げ口に変更する(図−3)。
C本体部はさらに牽引され方向転換器具に沿って鉛直方向から水平方向に向きを変え、バイブレータ支持台に設置される(図−4)。
D本体部の方向転換後、方向転換器具はセントルの内空側に収納される。
Eコンクリートがセントル妻型枠部まで充填された後、コンクリート圧力が圧力管理範囲内となるまで打込みを継続する。
Fバイブレータ支持台をセントル内空側に収納する。その後、本体部を振動させて牽引しアーチ部縦断方向に一定の速度で締固めを行う(図−5)。
Gバイブレータ引抜き後、必要に応じて圧力管理範囲内の再打込みを実施する。

【コンクリート圧力管理手法】(図−6)。
@セントルアーチ部のバイブレータが通過する4ヶ所に圧力計を設置して、打ち込まれたコンクリート圧力を表示装置で確認しながら打設作業を行う。
Aコンクリート圧力をコンクリートの充填を確保するための指標である最小管理値と型枠の安全性を確保するための指標である最大管理値により設定される管理範囲内となるように管理する。
Bバイブレータ引抜き後、最小圧力が最小管理値以下となった場合、あるいはコンクリート充填検知器により空洞の発生が検知された場合には、最大圧力管理範囲内での再打込みを実施する。

【本システムの特長】
@側壁部からアーチ部を経由して妻型枠部までを連続して機械的に締固めることによって、コンクリートの品質を均一にできる。
Aコンクリート充填検知器により、覆工背面の状態(空隙やブリージング水の有無)を確認しながら打込み作業ができる。
B上記@の手順と圧力管理およびコンクリート充填検知器による管理を併用することで、背面に空隙や空洞のない覆工コンクリートを構築できる。
C従来の締固め手法を用いた場合よりも、強度のばらつきが小さい覆工コンクリートを構築できる。
D従来の締固め手法を用いた場合よりも、あばたなどが少なく、コンクリート表面の仕上がり状態を向上できる。

緑資源機構発注の「18南丹 園八1工区農用道1号トンネル」に本システムを適用し、均一な締固めおよびコンクリートの圧力管理によって、空隙や空洞のない密実な覆工コンクリートを打設できることを確認しました。
今後奥村組は、山岳工法で施工されるトンネルに高品質覆工コンクリートの施工技術として、本システム積極的に提案していきます。

以 上

  【お問い合わせ先】
  株式会社奥村組
  技術本部東京土木技術部
     須田
    Tel . 03-5427-8582     
        



写真−1 バイブレータ本体と圧力計の設置方法     



写真−2 セントル妻型枠から巻き取り装置までの状況






アーチ部バイブレータ方向転換状況   クラウン部バイブレータ設置状況
 

写真−3 クラウン部へのバイブレータの移動(屋外での確認作業)

    



写真−4 クラウン部でのバイブレータ設置状況



写真−5 コンクリート圧力の表示画面




図−1 作業開始前のバイブレータや機器の配置




図−2 側壁部を打設している時のバイブレータの位置




図−3 コンクリートの一部がアーチまで到達した時のバイブレータの位置




図−4 方向転換後のバイブレータの位置(この状態ではバイブレータは停止)




図−5 クラウン部コンクリート充填後のバイブレータの位置



     

施 工 手 順

     
@   側壁部に打込まれたコンクリートの上昇にともなって、本体部はコンクリートを締固めながら牽引され上昇する (図−2 )
A   側壁部のコンクリートが所定の高さまで打込まれた時点でコンクリート打込み口をセントルクラウン部の吹き上げ口に変更する(図−3 )
B   本体部はさらに牽引され方向転換器具に沿って鉛直方向から水平方向に向きを変え、バイブレータ支持台に設置される(図−4 )
C   バイブレータ支持台をセントル内空側に収納する。その後、本体部を振動させて牽引しアーチ部縦断方向に一定の速度で締固めを行う(図−5 )
D   バイブレータを妻部から回収後、必要に応じて圧力管理範囲内の再打込みを実施する
     
     




図−6 作業の流れによるコンクリート圧力の変動概念図



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