株式会社奥村組は、ダム湖堆積泥土浚渫脱水処理用「奥村式スラリー連続脱水システム」を、国土交通省北海道開発局旭川開発建設部 旭川河川事務所発注の「黒岳沢川第１号ダム除石工事」（総合評価落札方式）における技術提案審査を経て、同工事に採用しました。
奥村式スラリー連続脱水システムは、浚渫工と脱水処理工から構成されます。
浚渫工においては、ダム形式や面積・深度・堆積土砂性状等の現地条件にあわせ、より適切な浚渫方法を採用し、脱水処理工においては、①設備設置スペースの縮小化、②連続的な処理による省力化･低コスト化、③脱水処理土の品質向上･減容化が図れる「スクリュープレス機（横型・縦型）」を使用します。
一般的に、ダム湖には上流から河川水とともに土砂が流入し、それらが長期間にわたり堆積するため貯水容量が除々に減少し、ダムとしての機能が損なわれます。
当該工事は、石狩川水系黒岳沢川の黒岳沢川第１号ダム（砂防ダム）のダム湖堆積土砂29,400ｍ3の撤去による機能回復が目的ですが、そのうち粒径の小さい粘土・シルト分と水からなる泥土5,400ｍ3については、運搬およびリサイクルするための脱水処理が課題となっていました。
広い用地が確保されていれば、通常、天日乾燥方式による脱水処理が採用されますが、当ダムは工事用地が狭隘なため、天日乾燥方式はもとより、機械脱水方式による一般的な「フィルタープレス機」の設置も困難でした。そこで、フィルタープレス機よりもさらにコンパクトな「スクリュープレス機」を組み込んだ奥村式スラリー連続脱水システムの採用に至りました。
浚渫された泥土は、凝集剤を添加するとともに、スクリュープレスに付加している強度自動制御装置によって、規定品質（コーン指数：300kN/㎡以上）を満足するよう脱水処理します。今回の処理土は一時的に保管され、旭川河川事務所管内の別工事で被覆材としてリサイクルされる予定です。
「奥村式スラリー連続脱水システム」の特長は以下のとおりです。
① ダム湖堆積泥土のさまざまな性状や周辺環境の条件に合わせ、適切な浚渫方法と組み合わせることで、効率的な浚渫・脱水処理が可能です。当工事に採用した脱水処理設備設置面積は258㎡であり、大規模な脱水処理ヤードを設けることが不可能な狭隘な採用地でも、脱水処理工事を実施できます。
② 脱水処理工で使用するスクリュープレス機は、連続脱水処理が可能なので、運転労務費等の省力化を実現します。また、使用電力も他の機械脱水処理工法に比べ、大幅な低減が図れます。
③ スクリュープレス機に付加した「強度自動制御システム」を利用し、脱水処理過程における脱水品質を確保できます。要求される処理土の強度（コーン指数）および含水率を得るため、これらのデータをもとにしたスクリュー回転数を随時調整し、脱水処理土を一定強度で排出します。
「奥村式スラリー連続脱水システム」は、ダム湖堆積泥土の脱水処理だけでなく、河川・湖沼・ため池等の堆積泥土やシールド工事の泥水や泥土など、微粒分を多く含んだスラリー材料の処理にも適しており、今後は、それらの工事へも普及展開していきます。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術本部
松田(土木部)
戸澤(東京土木技術部)
Tel . 03-5427-2316
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図-１ 奥村式スラリー連続脱水システムフロー
※今回の適用ではスクリュープレス（横型）を採用しています。 |
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図-２ 奥村式スラリー連続脱水システム システムイメージ
（縦型スクリュープレスでのイメージ）
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写真－５ 脱水処理設備（横型スクリュープレス：φ1000mm・φ500mm）
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写真－６ スクリュープレスから排出される堆積泥土(上から撮影)
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