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高速施工、低コストを実現する『扁平型断面シールド工法』を開発
〜大都市圏近郊の高速道路トンネルを低コストで施工〜

株式会社奥村組、石川島播磨重工業株式会社、石川島建材工業株式会社は、洪積層を主体とする比較的硬質な地盤を低コストで施工する『扁平型断面シールド工法』を共同開発しました。

【背景】
大都市圏近郊に整備が予定されている高速道路トンネルの一部は、「平野部の軟弱な地盤」から「丘陵地の比較的硬質な地盤」へと遷移する『シールド工法と山岳工法の境界領域』の地盤に計画される場合があります。このようなトンネル計画路線では、地上に民家などの建築物が近接するケースが多く、山岳工法を適用する場合、「地下水位の低下」、「地盤変状」など周辺環境への影響が懸念されています。しかし、これらを抑制するための補助工法の併用により、工事費や工期の増大を招くことが課題となります。
一方、これらのトンネルにシールド工法を適用する場合、施工速度が速く環境面への負荷が小さいという利点はあるものの、工事費が山岳工法に比べ割高になることが課題となります。

【技術の概要】
今回開発した扁平型断面シールド工法は、『シールド工法と山岳工法の境界領域』の比較的硬質な地盤を対象としたものです。シールド機は、用途に応じた最小断面の掘削を目標に、2車線道路トンネルの場合では、円形断面(掘削断面積 約110m2)に比べ約15%縮小した扁平断面形状の掘削を可能としました。また、トンネルの覆工には薄肉扁平形状のセグメント(扁平型セグメント)を採用しています。
本工法は、これら2つの技術を用いることで、施工速度が速く周辺環境への負荷が極めて小さいシールド工法の長所を生かしつつ、低コスト化を実現したものであり、従来の円形シールド工法に比べ約15%のコストダウンが可能です。また、滞水土砂地山においては都市部山岳工法と同等の経済性となります。

●ビームカッターシールド機(図−1、図−2)
扁平断面を確実に掘削することが可能なカッターヘッド構造を有したビームカッターシールド機を新たに開発しました。カッターヘッドは、円形カッター(メインカッター)と扁平張出し部の掘削を行う2本のビームカッターから構成されています。各ビームカッターは円形カッターのスポーク内に収納された各々2本のジャッキにより支持され、このジャッキの伸縮量を制御することでビームカッターの張出し量を調節し、扁平張出し部の掘削を可能としています。

●扁平型セグメント(図−2、図−3)
今回開発した扁平型セグメントは、トンネル内側から補強する構造を床版に内装し、さらに扁平型断面の最小曲率部をヒンジ構造とすることによってセグメントに発生する応力の軽減を図っています。これにより、セグメントの鉄筋コンクリート使用量が同等の建築限界を確保するために必要な円形セグメントと比較して低減され、10%以上のコストダウンが可能になりました。本工法の対象としている『シールド工法と山岳工法の境界領域』における地盤の一軸圧縮強度quを0.1〜10N/mm2と想定し、数値解析により本セグメントの実用性を確認しています。

【本工法の特長】
本工法の特長を以下に要約します。
@円形断面に比べて掘削土量が約15%少なく、土砂搬出による周辺環境への負荷を低減します。
Aトンネル下半部の空間が小さいため、中壁等の床版下部構造物の施工費を低減します。
B覆工と床版工を同時に施工することにより全体工程を短縮します。また、枕木の設置撤去が不要なので安全で広い作業床を確保します。
C2車線道路トンネルでは従来の円形断面シールド工法に比べ立坑の深さが約1.5m浅くなるため、立坑築造費を低減することが可能です。
D従来の円形シールド工法と同等の施工速度を確保するとともに、掘削断面積の縮小やセグメントのコストダウン等により、約15%の工事費低減が可能です。
E滞水土砂地山で一軸圧縮強度が概ねqu=0.1〜1.0N/mm2の地盤では、地下水位の低下防止を目的とした薬液注入等の補助工法を併用する都市部山岳工法と同等の工事費で施工可能です。

本年10月には、扁平型セグメントの強度確認を目的とした要素試験(試験場所:石川島建材工業梶@麻生工場)を実施し、本年11月にはビームカッターシールド機の掘削性能確認実験(試験場所:渇恆コ組 相模原工作所)を公開し、本工法の実用化を目指します。
これら各種実験のうえ、今後、大都市圏近郊の高速道路トンネル事業等へ本工法の提案を図っていきます。

以 上
   
  【お問い合わせ先】
   株式会社奥村組  技術本部土木部
       都市トンネルグループ
    田中   Tel . 03-5427-8484    
        


図−1 扁平型断面シールド工法概念図





図−2 ビームカッターシールド機のカッター機構


《ビームカッターシールド機の特長》

◆ビームカッターは、ビーム状の部材の両端にビットを配置したカッターです。
◆ビームカッターは、メインカッターのスポークに内装したジャッキで円周方向に張出します。
◆掘削断面の円形部はメインカッターで切削し、扁平張出し部をビームカッターで切削します。
◆1本のビームカッターは、右回転用と左回転用の2組のカッターを装備しています。
◆左回転時(図−2)は、右回転用ビームカッターがメインカッター回転部の内側にあり、ビットの不要な摩耗を防ぎます(右回転時も同様です)。




 

図−3 扁平型セグメントの構造


《扁平型セグメントの特長》

◆セグメントの厚さ(桁高)は、2車線道路トンネルの場合において、上半部300mm、下半部500mmの設計が可能です。
◆内部補強材(PC鋼棒)は、床版に内装した状態で坑内に搬入し、セグメントに埋込まれたインサートアンカーと接続します。
◆トンネル側壁から下半部付近のピース間にヒンジ継手を採用しています。
◆床版と中壁は、工場で製作し、坑内でセグメントと接続します。
◆セグメントおよび床版の組立ては、以下の手順で行います。
@セグメント組立て A中壁設置 B床版設置(PC鋼棒内装) CPC鋼棒接続




ビームカッターシールド機 回転状況図(30°分割)


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