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新しいトンネル変形抑制工法(POWERボルト工法)を開発・実用化

株式会社奥村組は、山岳トンネル工事に使用する新しい支保構造として、特殊な構造の鋼管を使用したトンネル壁面の変形抑制工法(以下「POWERボルト工法」)を開発、新潟県内のトンネル現場に適用し、その効果を確認しました。

膨張性地山などの大変形が生じるトンネルでは、一般に、変位の発生状況に応じて、吹付けコンクリートを厚くする、ロックボルトの本数を増やす、鋼製支保工のランクを上げるなど、支保構造の増強や上半仮インバート等断面の早期閉合により、変位抑制の対策が行われています。しかし、このような対策工だけでは変形を抑制できない場合があり、設計巻厚が不足するなどの不具合の程度に応じて、支保工を取壊し、地山を再度掘削・支保する縫い返しや、トンネル断面形状をより安定な円形に近付ける掘削工法の変更などを実施する必要があるため、施工性や経済性に大きな課題が残されていました。

今回開発したPOWERボルト工法は、通常の支保を構成する部材である吹付けコンクリートやロックボルト等だけでは、縫い返しを強いられるような地山を対象に、手戻り作業の無い効率的な施工を実現することを目的とした新しい支保構造です。

POWERボルト工法は、トンネル外周に特殊な鋼管(φ76.3mm、L=6m)を45°程度の角度を持たせて放射状に打設することで、トンネル周辺に剛性が大きく厚みのある補強ゾーンを形成することができます。

また、POWERボルトの構造は、主に鋼管とその内部に挿入する短尺(L=1.5m)の鋼棒から構成されており、地山とそれらの空隙をモルタルによって充填することで、地山との安定した定着が図れます。そして、鋼棒のトンネル内空側の端部を、ロックボルトと同様に、プレートとナットで吹付けコンクリートに固定する構造となっています。これらの支保メンバーおよび構造上の工夫により、曲げを含めた鋼管の持つ大きな剛性を有効に活用できるとともに、支保構造としてのじん性性能(変形への追随性)も格段に向上することができました。

POWERボルト工法の特長は、以下のとおりです。
(1) 鋼管と短尺の鋼棒を組合せた支保構造によって、大きな剛性とじん性(変形追随性)を実現。
(2) 鋼管を切羽前方に放射状に打設することで、切羽前方を含めたトンネル周囲に剛性の高いアーチ形成効果が連続して発揮され、先行変位を含めた変位抑制効果が得られる。
(3)先受け工とは異なり、側方からの押出しも含めて、トンネル周辺のあらゆる方向からの変形に抵抗できる三次元的な支保効果が発揮される。
(4)地山の変形状況により、鋼管の打設本数や配置、施工範囲を効果的に設定できる自由度がある。
(5)鋼管表面に施したスパイラル形状の突起加工と、後注入方式による定着材の充填方法により、地山内に設置する支保部材に安定した定着性能が得られる。
(6)特殊な施工機械や設備を必要としないので、標準的な切羽安定化補助工法と比較しても同等以上の経済性を示す。

鉄道・運輸機構北陸新幹線建設局発注の峰山トンネル東工事(トンネル全長:7,090m、東工区延長:3,300m)において、土被り厚さ380m、地山強度比0.4の新第三紀泥岩層区間でPOWERボルト工法の試験施工を行いました。その結果、通常支保パターン区間に比較して、本工法区間の変位は約50%となり、変位抑制の効果が実証されました。その後、先進ボーリング調査から脆弱な地山状態が予想され、さらにトンネル断面積が通常区間の約1.5倍に拡幅される悪条件下の区間(断面積:約134m2、施工延長:25m)にてPOWERボルト工法を本格適用し、坑壁の変形を効果的に抑制することができました。

今後、奥村組は、大変形が生じる山岳トンネル工事の変位抑制工法として、POWERボルト工法を積極的に提案していく予定です。
以 上
   
  【お問い合わせ先】
   株式会社奥村組  技術本部土木部
    橘高、 中村   Tel . 03-5427-8582    
        


POWERボルト工法の鋼管配置例




POWERボルト定着部の構造




 

上:スパイラル形状の突起を加工した鋼管(削孔用アウタービットを装着した状態)
下:削孔用のインナービット






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