株式会社奥村組は、日本コンクリート工業株式会社と共同で、□型形状の型枠兼構造体としての性能を兼ね備えた薄肉中空断面プレキャストコンクリート(以下、外殻PCa)［製品名称：エコカラム］を用いた鉄筋コンクリート造柱部材（以下、外殻PCa柱）の設計・施工法を確立し、同工法に対して財団法人 日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得しました。
【建築技術性能証明の内容】
日本建築総合試験所で取得した建築技術性能証明の内容は以下の通りです。
『「エコカラム工法設計指針」に従って設計した外殻PCa柱は、設計で保証すべき長期荷重時および短期荷重時の要求性能を満足するとともに、同設計指針で定める終局強度および塑性変形性能を有すると判断される。』
【本工法の概要】
本工法に用いるエコカラムでは、製造段階から薄肉プレキャストコンクリートの内部に横補強筋が埋設されているとともに、中空部分の内側面には、後打ち（中詰め）コンクリートとのせん断力の伝達を確実にするためのシアコッターが設けられています。
同エコカラムの中空部分に、建設現場で柱主筋を配筋した後、後打ちコンクリートを充填して一体化し、鉄筋コンクリート（RC）柱を構築します。
使用するエコカラムは、プレキャスト工場で遠心成形によって製造されるか、プレキャスト工場あるいは現場近郊のサイトで、通常の流し込み成形によって製造されます。
いずれの製造タイプの場合でも、エコカラムに中子筋併用の横補強筋を配筋することによって、地震時の高圧縮軸力下においても、せん断終局強度のみならず、塑性変形に関して要求される性能を満足する外殻PCa柱の設計を可能にしています。
【適用範囲】
(1) コンクリート：
設計基準強度（Fc）
外殻PCaコンクリート： 30 N/mm2以上かつ80 N/mm2以下
後打ちコンクリート：21 N/mm2以上かつ70 N/mm2以下
(2) 鉄 筋：
SD295A,B、SD345、SD390、SD490
ただし、横補強筋には、国土交通大臣の認定を取得した高強度横補強筋を使用できる。
【本工法の特長】
1．工期短縮、施工省力化
エコカラムと柱主筋をユニット化し、それらを同時に揚重して建込めるため、作業効率が向上します。建込まれたエコカラムには、あらかじめ横補強筋が配筋されているため、現場での鉄筋組みが不要です。さらに、エコカラム表面は平滑であるため、仕上げのための下地処理も省略できます。これらによって、大幅な工期短縮、省力化が図れます。
2．コスト縮減
柱主筋を2層1節にして建て込めるため、柱主筋の機械式継手箇所が、在来工法や通常の外殻PCa柱工法の約1/2となり、施工コストを縮減できます。
3．通常の揚重機で建込み可能
１ピースの重さがフルPCaや柱主筋を配筋した外殻PCaに比べて軽量であり、揚重には大型クレーンを必要としません。
4．地球環境保全に貢献
エコカラムは型枠としての機能も有しているため、木製型枠を必要とせず、森林資源保護や産業廃棄物低減に貢献します。
5．優れた耐久性
エコカラムは、100年間の耐用年数を想定したコンクリートの目標品質を満足しており、耐久性に優れています。
なお、エコカラムと2層1節の柱主筋をユニット化して建込み、工期の短縮を図るとともに、柱主筋の機械式継手の数を少なくしコスト縮減を図る工法を「エコカラムユニット工法」と呼称しています。同工法は、第３回国土技術開発賞に入賞しています。
【今後の予定】
今後、エコカラムの製造と販売については、日本コンクリート工業(株)が担当し、全国的な普及展開を図っていきます。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術本部技術研究所
細矢
Tel .
029-865-1835
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| 図１ 本工法による架構の構築方法（梁を在来工法により施工する場合） |
| 図２ 本工法による架構の構築方法（梁をプレキャスト工法により施工する場合） |
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エコカラム（遠心成形） |
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エコカラム（流し込み成形） |
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エコカラムの設置状況２
(梁を在来工法により施工する場合) |
エコカラムの設置状況１
(梁を在来工法により施工する場合) |
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エコカラムの設置状況４
（梁をプレキャスト工法により施工する場合） |
エコカラムの設置状況３
（梁をプレキャスト工法により
施工する場合） |
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施工事例３ |
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