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高速施工、低コストを実現する 『扁平型断面シールド工法』の掘削実験を公開

株式会社奥村組、石川島播磨重工業株式会社、石川島建材工業株式会社の3社は、シールド工法と都市部山岳工法の境界領域における都市トンネルの施工を目的に開発した『扁平型断面シールド工法』の主要技術である「扁平型シールド機(ビームカッターシールド機)」の掘削実験を公開しました【写真−1】。

ビームカッターシールド機は、2車線道路トンネルを対象とした場合、円形断面(掘削断面積 約110m2)に比べ、約15%縮小した扁平断面形状の掘削が可能となります。また、現在並行して開発を進めている薄肉扁平形状のセグメント(扁平型セグメント)と併せて施工することによって、従来の円形シールド工法に比べ約15%のコストダウンが図れます。また、施工中における地下水位の低下や地盤変状等の制約が厳しい大都市圏近郊の浅層地盤における施工条件の下では、都市部山岳工法と同等の経済性を確保しつつ、従来の円形シールド工法と同等の高速掘進が可能です。

掘削実験は、シールド工法と都市部山岳工法の境界領域(一軸圧縮強度qu=0.1〜10N/mm2)を想定した模擬地盤を奥村組相模原工作所内(神奈川県相模原市)に設け、実用機の約1/4.5スケールの実験機により掘削性能を確認しました。また、本年10月に行った扁平型セグメントの覆工応力度の低減を目的に採用した内部補強材の定着部インサート引抜き試験の供試体も公開し、道路、鉄道関係の企業先、コンサルタント、学識経験者など多数の方々に本工法の特長を確認していただきました。

◆扁平型シールド機(ビームカッターシールド機)の概要(図−1、図−2)
ビームカッターシールド機は、扁平断面を確実に掘削できるカッターヘッド(ビームカッター)を装備しています。カッターヘッドは、「円形カッター(メインカッター)」と、扁平張出し部の掘削を行う2本の「ビームカッター」で構成されています。各ビームカッターは円形カッターのスポーク内に収納された各々2本の油圧ジャッキにより支持され、このジャッキの伸縮量を制御することによって、ビームカッターの張出し量を調節し、扁平張出し部を掘削します。

◆ビームカッターシールド機掘削実験の概要
掘削実験は、ビームカッターの掘削性能およびビームカッターを伸縮する油圧ジャッキの制御性能の確認を目的として実施しました。実験機は、2本の油圧ジャッキで駆動される一組のビームカッターを装備。強度の異なる3つの模擬地盤(一軸圧縮強度qu=3、5、10N/mm2)を掘削し、実用機設計のための基礎データ(掘進推力、掘進速度、カッタートルク等)を取得するとともに、以下の項目を実証できました。
@模擬地盤のいずれの地盤強度においても、扁平断面を精度良く掘削可能。
A一軸圧縮強度qu=10N/mm2の硬質地盤においても、 毎分40mm以上の安定した速度で掘進可能。
B想定した切削軌跡を忠実にトレースできるため、ビームカッターを伸縮する油圧ジャッキの制御性が安定している。

◆扁平型セグメントの概要(図−1、図−3)
扁平型セグメントは、トンネル内側からの補強を目的とした内部補強材を床版に内装し、さらに扁平型断面の最小曲率部をヒンジ構造とすることでセグメントに発生する応力の軽減を図っています。これによって、通常の円形セグメントと比べ、セグメントの桁厚等が低減され、セグメント単体で10%以上のコストダウンが図れます。
また、床版および床版下部構造物が、すべてプレキャスト構造として施工できるため、セグメント組立てと床版工の同時施工が可能となり、全体工程の短縮が図れます。

◆扁平型セグメントの強度試験概要
内部補強材の定着部インサートの引抜き耐力を確認するために、強度試験を行いました。内部補強材は、PC鋼棒(φ40)を用い、供試体(縦2.0m×横2.0m、厚さ0.5m)に本工法の対象地盤のうち、最も厳しい覆工荷重を想定した引張力を作用させました。試験の結果、設計荷重レベルにおいてクラック等の発生がない弾性挙動を示しました。また極限耐力等も理論値と近似しており、内部補強材の引抜き耐力と定着方法が十分に安全で実用的であることが確認できました。

今後、奥村組、石川島播磨重工業、石川島建材工業の共同開発3社は、このたび実施した各要素実験の成果を通して、『扁平型断面シールド工法』の実用化に問題のないことを確認したため、本工法を大都市近郊に建設が予定されている高速道路トンネル工事に積極的に提案していくとともに、各種用途のトンネルなどの地下構造物についても積極的な提案を行っていきます。

以 上
   
  【お問い合わせ先】
   株式会社奥村組
   技術本部土木部 都市トンネルグループ
       田中  Tel .03-5427-8484
        


写真−1 ビームカッターシールド機掘削実験の公開状況




図−1 扁平型断面シールド工法概念図





図−2 ビームカッターシールド機のカッター機構

《 ビームカッターシールド機の特長 》

◆ビームカッターは、ビーム状の部材の両端にビットを配置したカッターです。
◆ビームカッターは、メインカッターのスポークに内装したジャッキで円周方向に張出します。
◆掘削断面の円形部はメインカッターで切削し、扁平張出し部をビームカッターで切削します。
◆1本のビームカッターは、右回転用と左回転用の2組のカッターを装備しています。
◆左回転時(図−2)は、右回転用ビームカッターがメインカッター回転部の内側にあり、ビットの不要な摩耗を防ぎます(右回転時も同様です)。




図−3 扁平型セグメントの構造

《 扁平型セグメントの特長 》

◆セグメントの厚さ(桁高)は、2車線道路トンネルの場合において、上半部300mm、下半部500mmの設計が可能です。
◆内部補強材(PC鋼棒)は、床版に内装した状態で坑内に搬入し、セグメントに埋込まれたインサートアンカーと接続します。
◆トンネル側壁から下半部付近のピース間にヒンジ継手を採用しています。
◆床版と中壁は、工場で製作し、坑内でセグメントと接続します。
◆セグメントおよび床版の組立ては、以下の手順で行います。
@セグメント組立て A中壁設置 B床版設置(PC鋼棒内装) CPC鋼棒接続






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