株式会社奥村組は、奥村機械製作株式会社と共同開発した簡易解体が可能な泥水式シールド掘進機「やどかり君」を、神奈川県企業庁水道局発注の水道工事(セグメント外径φ2,000mm)に採用し、1スパン目(延長=825m)の掘進でその優れた効果を確認した。施工は奥村・小田急・大野特定JV。
同シールド機は外殻・中殻・内殻という3重構造の鋼殻を採用することによって内部の機械・装置を容易に解体できる。また、到達後のシールド機解体時において、作業環境および作業効率が向上するだけでなく、狭隘空間でのガス切断器を用いた危険作業の大幅削減や工期短縮が図れる。
同機の特長である、鋼殻3重構造のそれぞれの機能は次のとおりである。
外殻・・・トンネル外殻として土圧に耐える、曲線施工機能・推進機能を持つ
中殻・・・内殻と外殻の接続管であり、拡縮調整・止水シ−ル機能を持つ
内殻・・・主として掘進機の心臓部となるカッタ等駆動部分を備えている
1スパン目施工時の実証目的である接続部間の止水性および耐久性の確認を、外殻・中殻・内殻それぞれに実施し、その成果を得た。
簡易解体は、@トンネル掘進完了後、外殻にボルト接合されている推進ジャッキ、中折れジャッキ、エレクター等を解体し、Aその後内殻・中殻及びカッターヘッドを一体で解体・搬出するという手順で行う。
それぞれの固定には、主にボルト接合が用いられているため、解体は容易である。従来のように溶断作業が必要な箇所は外殻の一部だけなので、狭隘空間での溶断作業を削減し、作業環境の改善と、安全性の向上が図れる。
当工事は平成16年10月に1スパン目(延長=825m)の掘進を完了。工程を確保するため、シールド機本体に高速掘進機能を付加し、後方の各設備にも高速掘進対応の機器を装備したことで、同期間中に月進640mを記録し、その能力の高さを示した。
現在2スパン目(延長1,265m)の掘進作業を行っており、簡易解体の実証時期は来年4月上旬を予定している。
奥村組と奥村機械製作は、推進工事に採用する掘進機についても「やどかり君」のラインアップを既に開発しており、実工事への適用を進めている。
今後は、都市部でのシ−ルドトンネル工事および推進工事における、地中接合や既設人孔への到達といった特殊条件下での適用を目指し、積極的に営業展開していく。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組 東京支社機械部
大林、千原 Tel .03-5427-8256 |

回収型シールド機 内殻・中殻引出し解体状況

簡易解体型泥水シールド機
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