株式会社奥村組は、同社が設計・施工し1986年に竣工した日本初の実用免震ビル「奥村組技術研究所管理棟(茨城県つくば市)」において、同建物を自由振動させ(人工的に建物自体を揺らせ)、免震装置の経年変化を検証しました。
免震建物に用いられる免震装置のなかでもっとも一般的な「積層ゴム(当建物でも使用)」は、その経年変化を想定し設計しています。その検証をするため、竣工から20年目の節目に実施した今回の実験で得られたデータは、設計想定値の1/4程度にとどまり、十分な安全性能が保たれていることが確認できました。
奥村組は長期間にわたり、免震装置に関する多くのデータを蓄積し、設計技術の向上に努めています。今後も「建物自体を揺らすことができる」という当免震建物の大きな特長を活かし、さまざまなデータを蓄積することで、解析精度の向上やコストダウンにつなげるとともに、大地震時にも継続使用を可能とする免震建物のさらなる普及に取り組んでいきます。
◇見学会のお知らせ◇
次の要領で自由振動実験の公開見学会を行いますので、ぜひご来場下さい。
(日時)平成17年10月20日(木)午後 ※所要時間は約2時間
(場所)〒300-2612 茨城県つくば市大砂387 渇恆コ組技術本部技術研究所
(お申し込み先)
株式会社奥村組管理本部総務部広報課長・古家充(ふるやみつる)
mail: mitsuru.furuya@okumuragumi.jp
TEL:06-6625-3532 FAX:06-6623-7692
※お手数をおかけいたしますが、上記いずれかの連絡方法で、参加ご希望の旨をご連絡願います。おって当方からご案内状を送付させていただきます。
(希望される方は、10月12日(水)を目処にご連絡願います)
【実験概要】
総重量約2,500トンの建物全体を水平方向に400トンまで押せるジャッキで、10cmまで強制的にスライドさせた後、一気にジャッキの力を解放して自由振動させます。水平方向の反力は、設計段階から本実験を想定して設置された反力壁を用いています。
この自由振動時の周期、振幅、減衰のデータを測定し、免震装置の経年変化の状況を把握しています。
◇本実験の特長
@実建物を用いた実験
個別の装置のデータに加え、建物全体の振動データが得られることによって、性能評価の精度を向上させることができる。
A自由振動での実験
地震観測では地震が発生しないとデータが得られないが、自由振動実験では建物そのものを人工的に揺らすことで、必要データが確実に得られる。
また、地震観測では様々な揺れが複合するが、自由振動実験では揺れ方が定常なので、免震装置の特性に対するデータの分析が容易である。
◇20年間のデータ蓄積によって、より優れた設計を提案
「奥村組技術研究所管理棟」では、今回の自由振動実験以外にも竣工以来20年間、常時地震観測を行っています。同エリアでこれまで幾度も発生している実際の地震において、免震効果を確認するとともに、そのデータを蓄積し、設計に反映させています。
また、同研究所内「大型耐震実験棟」にある大型振動台は、3次元6自由度で最大3Gまでの揺れを発生させる能力を持ち、「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」「新潟県中越地震」等大地震の揺れも再現可能です。当振動台を用いて、構造物の安全性確認、免震台・免震床の性能検証、地震体験による防災意識の向上などに積極的に取り組んでいます。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組 技術本部技術研究所
早川 Tel .0298-65-1829
株式会社奥村組 営業本部建築営業部
鶴谷 Tel .03-5427-8518 |

奥村組技術研究所研究管理棟(外観)

自由振動実験装置(200tジャッキ・2本)

積層ゴムの強制変形の状況
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