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漬け置き洗浄で重金属汚染土壌を浄化
〜環境負荷の小さい洗浄液と浸漬処理による低価格、高効率の浄化工法を開発〜

 株式会社奧村組、五洋建設株式会社と鉄建建設株式会社は、重金属類で汚染された土壌を、クエン酸溶液を用いて、低価格、高効率に浄化する「重金属汚染土壌の浸漬処理工法」を共同開発しました。重金属類に対して高い除去効率を示すだけでなく、人体ならびに周辺環境への負荷が小さい物質であるクエン酸を用いた本工法は、環境にもやさしい新たな汚染土壌浄化工法です。

 重金属汚染土壌の浄化技術のひとつに分級洗浄工法があります。これは、微細な土粒子分に比べ砂礫の割合が多い汚染土壌を、分級洗浄装置などによって洗浄処理し、洗浄された砂礫部分を再利用するというものです。ただし、従来の水洗いのみによる洗浄方法では、土粒子に強く吸着した重金属を洗い流すことは困難であり、そのため洗浄回数が増加し浄化土壌の回収率が悪くなる、また洗浄水量が多くなる、などの課題を有していました。
 3社は平成13年10月から共同研究を進めており、このほど開発した「重金属汚染土壌の浸漬処理工法」は、これらの課題を克服できる新しい洗浄分級技術です。

【概要】
本工法は、汚染土壌をクエン酸溶液等の洗浄液に漬け置くこと(浸漬)に始まり、すすぎ洗い(洗浄)を経て、粗粒分と細粒分をふるい分ける(分級)工程の間で浄化し、最後に浄化土壌(粗粒分)を再利用化処理する過程で構成されます。

@ クエン酸濃度1%程度の洗浄液が入ったタンクに汚染土壌を一昼夜浸漬し、水だけでは容易に洗い出せない汚染物質を分離し易い状態に転換します。
A 移動性の高いアジテータ車をすすぎ洗い装置として使用し、浸漬によって溶け出した重金属類を含むクエン酸溶液を水と置換処理します。処理量が多い場合は大型のドラムウォッシャーをすすぎ洗いに用います。
B 振動ふるい等の汎用的な装置を用いて、汚染物質が多く吸着している粘土成分(細粒分)を分離除去します。
C 分級した土壌のうち、粗粒分の再利用化を図ります。

【特長】
@高効率の浄化
一般に土壌は、多様な環境履歴を受けています。そのため、そこに存在する汚染物質も水で分離される形態のものは限られ、特異吸着(容易に脱着されない吸着)などの強い結合形態で存在している場合が多くあります。これらの汚染土壌をクエン酸溶液に一昼夜漬け置くことにより、特異吸着した汚染物質がクエン酸溶液中に溶け出し、洗浄分級しやすい状態となります。この「浸漬」工程を追加することにより、特殊な洗浄分級装置を使用することなく、高効率での洗浄分級処理を可能としました。ちなみに、1%のクエン酸溶液に浸漬処理を施した場合の鉛の除去率は、水道水のみの洗浄処理と比較して3倍の値が得られることを確認しています。
また、洗浄効果を高めたことで、浄化土壌の回収率が高くなり、最終処分土量が減少し、逼迫する最終処分場の延命化にもつながります。
A環境に優しい工法
 クエン酸は、食品添加物としても使われている材料であり、人体ならびに環境への負荷が小さい物質です。浄化土壌(粗粒分)は再利用を図りますが、クエン酸を1%という低濃度で用いているために土壌のpHが弱酸性に留まり、高い再利用性を示します。浄化土壌はそのままでも緑化基盤となり得ますが、損失した窒素やリン分を補給すれば、更に良好な緑化基盤として利用することが可能です。
 また、乾燥した土壌を扱う状況がほとんど発生しないため、粉塵の発生が少なく、振動、騒音その他の周辺環境への影響が少ないことと併せて、環境負荷の小さい工法と言えます。
B狭い場所でも浄化工事が可能
浸漬槽としてタンクを用い、またすすぎ洗い装置として移動性の高いアジテータ車を用いる等を選択できるシステムなので、狭い敷地での浄化作業も可能です。汚染状況等の条件で異なりますが、敷地面積が数百平方メートル程度のサイトへの適用も可能です。
また、浄化規模が大きくなった場合は、原地盤内に浸漬処理ピットを築造して大量に浸漬処理する等での対処が可能であり、すすぎ洗い装置として大型のドラムウォッシャーを用いるなど規模に応じた処理を実施できます。
C低コスト
浄化コストは条件により異なりますが、50m3/日の処理を想定したモデルケースでは、汚染土壌の場外搬出処分費と同等のコスト(2〜3万円/m3)での処理が可能です。よって、浄化土壌の再利用ができること、最終処分場の延命化につながることから、経済的な浄化処理工法といえます。

 なお、本工法は「環境省・平成14年度低コスト低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査」に採択され、実証試験(平成15年1月〜3月)で、鉛の含有量基準を超える汚染土壌を環境基準以下に浄化できることを実証しました。その成果は次の通りです。

@ 浸漬と分級の2つの効果で、初期含有量の64%の鉛を除去したことを確認しました。クエン酸濃度を高めれば、更に高い洗浄効率を得ることも可能です。
A クエン酸を1%という低濃度(重量濃度)で用いることで、低コストで浄化処理できることを実証しました。
B 浄化作業中の振動、騒音、粉塵等は基準値以下で、周辺環境への負荷が小さいこと及び浄化土壌は植生土壌としての性能を有しており土壌環境への負荷が小さいことを実証しました。
C 汚染物が濃縮した洗浄水は、全て水処理設備で基準値以下に浄化処理して放流し、水環境への負荷を低減させました。

 今後3社は、鉛以外で汚染された実汚染土壌に対する検証などをさらに進め、実工事への早期適用を目指します。

以 上
   
  【お問い合わせ先】
   株式会社奥村組  技術研究所
   小西、亀田  Tel 029-865-1774



工法の概要

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