株式会社奥村組は、松下精工株式会社、株式会社エムシーエムと共同開発したクローラ台車搭載型電気集じん機(製品名称「クローラ型クリンジェット」)を、施工中のトンネル工事に適用した結果、「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン(以下ガイドライン)」(平成12年12月、旧労働省策定)で規定された切羽後方50mでの粉じん濃度目標レベル(1立方bあたり3_c以下)をクリアできることを確認しました。
平成10年(1998年)から3社が共同開発に取り組んできた「クリンジェット」は、粉じんを含む空気を吸引し、粉じんを帯電して電極板に付着させる集じん機です。バグフィルタ方式と比べて通気抵抗が少ない電気集塵方式を採用することにより、粉じんを高風速で処理でき、コンパクトかつ低消費電力を特長としています。
クリンジェットの現場適用実績は50件近くになりますが、これまでの粉じん計測結果によって、クリンジェットを切羽近傍に設置した方が集じん効果が上がることが分かりました。
そこで今回、先に開発した車載型(4tトラックに搭載)に加え、切羽近傍に設置でき、かつ移動が容易なクローラ台車搭載型の「クローラ型クリンジェット」を開発しました。
クローラ型クリンジェットの特長は以下のとおりです。
1. 集じん機本体とファン、ダクト、ケーブルリールをクローラ台車に搭載したコンパクトな構造で、毎分2,000立方bの処理能力を持っています。
2. クローラ台車の走行操作はリモートコントロール方式を採用しているので、オペレーターが視界の良い安全な位置で容易に操作することができます。
3. 小型であり、吹付け作業時には、切羽から20〜30m付近にまで近接して設置できるので、粉じん発生源の近傍で効率よく集じんできます。
4. 吹付け作業時以外は、切羽作業に支障のない後方まで容易に移動可能です。
クローラ型クリンジェットを導入した一般国道369号(仮称)とがさか栂坂第2トンネル(奈良県発注)において、集じん効果を検証するための試験を実施しました。
同トンネルは発破工法によって掘削を行っていますが、本機を切羽から50m以内に設置して粉じん計測を行ったところ、吹付け中の粉じん濃度、ずり出し中の粉じん濃度は、いずれも切羽後方50m位置で、1立方bあたり1〜2_cとなり、ガイドラインの規定値(1立方bあたり3_c以下)をクリアしました。
同試験によって、クローラ台車搭載型の効果だけでなく、空気中の粉じんを90%以上捕集する高い集じん性能を持ち、坑内の各種浮遊粉じんを効果的に捕集できるクリンジェットが、現場環境の改善・保全に有効であることを実証しました。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組 技術本部技術開発部
萩森 健治
TEL 03-5427-8580 FAX 03-5427-8104
松下精工株式会社
環境システム事業部 道路技術チーム
細野 洋
TEL 0568-81-1977 FAX 0568-82-0200
株式会社エムシーエム
酒井 喜久雄
TEL 052-804-9633 FAX 052-804-1505 |


クローラ台車搭載型電気集じん機「クローラ型クリンジェット」(上下写真共)
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