株式会社奥村組とダイセン・メンブレン・システムズ株式会社は、ダイオキシン類を含む工事排水を高能率で処理できる新たなシステムを旧焼却場解体工事に初めて適用し、その有効性を確認しました。
本システムによって、ダイオキシン類対策が課題となっている旧焼却場解体工事で発生する汚染排水を効率的に処理できるだけでなく、大幅なコストダウンが可能です。
ダイオキシン類を含む排水処理は、凝集沈殿や活性炭添加、砂ろ過が一般的ですが、これらは装置が大型となり、設置に場所と時間を要します。また、使用済みの活性炭やろ過砂が新たなダイオキシン類汚染物となります。
本システムは、超微細なメッシュ(網)を使用するケーキろ過法(ダイナミック膜ろ過法)を、ダイオキシン類を含む汚染排水の処理に初めて採用したものです。
排水に含まれる粒子をメッシュ上に堆積させ、その堆積層をろ過層とすることで、高能率かつ高度なろ過処理ができます。また、凝集剤を添加しないため、排水処理過程において余剰汚染汚泥が発生しません。(図−1参照)
また、ダイナミック膜ろ過処理をした排水に光触媒を添加し、限外ろ過膜処理をする装置も備えていますので、油分等の混入によってダイオキシン類濃度が非常に高い排水や、鉛等の重金属が多く含まれている排水にも対応できます。
処理水のSS(浮遊物質量)濃度が非常に低いため、解体工事に使用する高圧洗浄装置の給水として循環再利用ができ、従来の1/3から1/4程度の工事用水量で除染作業が可能です。循環再利用した処理水は、光触媒添加および限外ろ過膜処理を行い、水質の安全性を確認した後放流します。
従来のシステムに比べて、装置を格段に小型軽量化でき、設置面積は従来の1/10程度になります。また、余剰汚染汚泥を発生しないので、廃棄物処理量も大幅に減少します。敷地に余裕がない場合でも設置できるだけでなく、装置価格、設置工事費、運転費、廃棄物処分費等を合わせて、50%以上のコストダウンが図れます。
このたび、本システムの排水処理装置を、旧焼却場解体工事に初めて適用(写真-1参照)し、洗浄排水をリサイクルすることで工事用水を大幅に削減できました。
処理性能は非常に高く(表-1参照)、ダイオキシン類排出基準の10pg-TEQ/Lを大きくクリアできること、1m3/hという高い処理能力があること、そして薬剤を使用していないため濃縮汚泥処理が簡便であることも確認できました。
今後、ダイオキシン類汚染土壌の浄化処理や、最終処分場の浸出水処理等の実用化などへの、本システムの適用を目指していきます。
以 上
【お問い合わせ先】
株式会社奥村組 技術研究所
第2研究グループ 亀田 茂
0298-65-1724 |

図−1 処理フロー概念図

写真−1 排水処理装置設置状況

表−1 処理性能 ( )内は排水基準値 |