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免震マンションに金属製転がり支承を国内で初めて採用
〜高性能な『ハイブリッド型免震システムFRS』を実用化〜

株式会社奥村組は、このほど高層免震マンションに、新しい建築用免震装置である金属製転がり支承を、国内で初めて採用しました。
施工物件は、東京都立川市に建設される鉄筋コンクリート造、地上17階建の分譲マンション「ルミナス立川プライムタワー」です。
建築主・販売主は日本勤労者住宅協会で、意匠設計を三栄建築設計事務所、構造設計を奥村組が担当しています。平成13年7月に日本建築センターの性能評価を完了、同年8月に国土交通大臣の認定を取得しました。平成13年11月に着工し、平成15年5月の竣工予定で、現在モデルルーム公開中です。

近年、建物に要求される性能は高度化しており、特に阪神・淡路大震災以降は、大地震においても建物の損傷を防止する"免震建物"への需要が高まっています。その中で、従来の免震装置では免震化が難しかった建物であっても、免震化が望まれています。

「ルミナス立川プライムタワー」は、JR立川駅北口に隣接する都市型高層分譲マンションで、人命はもとより、資産なども保護する高度な安全性が求められました。そのため、建物に免震構造を採用することとし、建設省告示第1461号で規定する「極めて稀に発生する地震動」(震度6強程度)においても、建物および免震装置が無損傷であることを設計目標としました。しかし、
・17階建で、アスペクト比(建物の幅と高さの比)が大きいため、大地震発生時には、転倒モーメントによって免震装置に引き抜きが生じやすい。
・敷地の制約により、免震装置の可動範囲が50cm程度となる。
・平面形状がL型をしているため、偏心によるねじれを生じやすい。
といった問題があり、上部構造の最大応答加速度を抑えて所定の目標性能を満足することは、従来の免震装置では困難でした。
そこで、新たに開発した金属製転がり支承と鉛入り積層ゴム支承を組み合わせた『ハイブリッド型免震システムFRS(Flat rail-Rubber bearing System)』を採用することで免震性能を向上させ、これらの問題を克服しました。

奥村組は、免震性能に優れた金属製転がり支承の開発を積極的に行っており、美術品の免震展示ケースや免震床など、軽量物を対象とした免震装置で多くの実績を積み重ねてきました。また、RC造2階建の既存建築物に、金属製転がり支承を設置し、実地震でその効果を確認しています。
こうした技術を背景に、建築物の大荷重にも対応できる免震装置として、オイレス工業(社長:佐藤英二)と共同で今回採用した金属製転がり支承CRB(Cylindrical Roller Bearing)を開発し、昨年6月に支持荷重1.6MNから11.7MNまでの11タイプについて、国土交通大臣の建築材料認定を取得しました。
CRBは、2本のローラーとこれを挟むレールを、建物があらゆる方向に移動できるように中間プレートを介して直交2段重ねにしたもので、特長は以下のとおりです。
@ 積層ゴムと同等以上の荷重支持能力と変形能力を発揮します。
A ローラーの転がり摩擦係数は1/1000以下(実機での転がり試験結果による)と小さいため、小さな地震でも作動します。
B 荷重支持能力が高い円柱状のコロが転がる機構であり、同類の復元力のない免震装置である「ボールベアリング」や「直動レールを採用した装置」に比べて寸法がコンパクトで、施工が容易です。
C 固有周期が長周期化されるので、減衰のためのダンパーを減らすことができます。
D 道路橋で使用実績の豊富な特殊ステンレス鋼を採用しており、耐久性に優れ、劣化の心配がありません。

CRBはフラットで復元力がないため、復元力を有する積層ゴム支障と組み合わせて使用します。すべての支承を積層ゴムとした場合、復元力が過大となり所定の長周期化が図れない場合があります。しかし、全支承の1/2から1/3に金属製転がり支承CRB、残りを積層ゴム支承とするFRSでは、積層ゴムが負担していた建物荷重をCRBに負担させることにより復元力の増大を抑えるため、積層ゴム支承のみを使用する一般の免震構造に比べて固有周期をより長くすることができ、免震性能が向上します。

「ルミナス立川プライムタワー」では、金属製転がり支承CRBを6基(9.9MN支承4基と4.7MN支承2基)と、角型鉛入り積層ゴム支承LRB(Lead Rubber Bearing)を11基(□950mm支承7基と□850mm支承4基)採用することで、4秒を超える固有周期を実現しました。

その結果、建築基準法で規定された極めて稀に発生する地震動に対して、建物の最大応答加速度はほぼ200cm/s2以下に抑えられ、構造骨組みは弾性範囲で損傷が生じないという優れた安全性を達成しています。また、免震層の最大変位も40cm程度に収まり、免震装置に引き抜きが生じることもありません。
免震装置の設置工事が行われる本年3月中旬には、当技術を普及展開するための見学会を予定しています。

今後、従来の積層ゴム方式では免震化が難しかった高層建物や軟弱地盤の建物、あるいは高度な安全性が要求される建物などに対して、この金属製転がり支承を採用していく方針であり、積極的な営業活動を進めます。
                                  

以 上
   
  【お問い合わせ先】
   株式会社奥村組 建築設計部
   川井、大塚  Tel 03-5427-8434

■ 建築概要
建物名称 ; ルミナス立川プライムタワー
建 設 地 ; 東京都立川市曙町
建築主(販売主) ; 日本勤労者住宅協会
意匠設計 ; 且O栄建築設計事務所
構造設計 ; 渇恆コ組東京支社
用途 ; 店舗・共同住宅(分譲87戸)
用途地域 ; 商業地域
敷地面積 ; 1,607.44m2
構造規模 ; 鉄筋コンクリート造 地上17階
軒高 ;    51.05m
塔状比 ; 3.80
建築面積 ;   759.79u
延床面積 ; 9,106.86u
免震装置 ; 金属ローラー支承(9.9MN) 4基
金属ローラー支承(4.7MN) 2基
LRB(□950、G4)    7基
LRB(□850、G4)    4基
最大変位 ; ±50cm
基礎構造 ; 直接基礎(べた基礎)
地盤種別 ; 第2種地盤




外観パース


 

免震装置の配置





写真1 金属製転がり支承CRB





写真2 角型鉛入り積層ゴム支承LRB


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